【愛の形】
墓参りの後 予定を変更して
少し遠出してお昼を食べに行く事になった
はりきった父が 紅葉を見せようと
遠回りして 山道を登った
空は真っ青で 雲一つない
空気は澄んで美しかった
が
私と娘は 車に酔った
中華は予想以上においしくて
ムカムカした胃の中にも
するりと麺が入り込んだ
が
降車後すぐに 私は吐いた
母が心配し
予定変更しちゃってごめんねと謝りながら
私の背中をさすった
子ども達は、景色なんて興味ないのにね
と母が言うので
そんなことないよ、キレイだった
喜ばせようとしただけだよ わかっているよ
と私は言った
そう、わかってる、だから(父へ)何も言わないの
と母が言った
私は大きな愛の中に
自分の体が浮いているように感じた
愛の形はそれぞれ違う
受け取る形も違う
小さな子が 形合わせの玩具で
ハートや星型を穴に通すように
ぴったりはまった愛しか受け取れないような人間には
なりたくないなぁ
形は違えど
根底に流れているのは 愛そのもの
欲しい時に 欲しい形の愛だけを欲張っていては
そこに流れるもっと大きな愛を 見失う
みんなそれぞれ 大切な人を 大切にしたいだけ
大好きな人が 笑って喜ぶ顔が見たいだけ
普段けんかばかりしている夫婦の間に流れる愛に触れ
人の心の
奥深さを思い知った
ありがとうね